意味
「黒幕(くろまく)」とは、おもてには名前が出ないまま、他人を動かして事を運ぶ人を指します。
計画や指示そのものより、姿を見せずに操る立場にあることが核心で、多くは良くない企みと結び付けて使われます。
公然と表に立つ首謀者ではなく、正体が隠れているからこそ「黒幕」と呼ばれます。
語源・由来
もとは歌舞伎で使う、黒い木綿の幕そのものを指す言葉でした。
場面の変わり目に舞台を覆い隠したり、大道具の奥に掛けて夜の闇を表す背景に使ったりします。
黒は舞台の上で「見えないもの」という約束のため、この幕の陰にいる人や物は観客の目に映りません。
この「見えない」という約束から転じて、表に立たず陰で人や物事を操る人物を指すようになりました。
使い方・例文
- クーデターの黒幕は、表舞台に一度も姿を見せなかった。
- この買収劇には、裏で糸を引く黒幕がいるらしい。
- 騒動の黒幕が誰なのか、最後まで明かされなかった。
類義語・関連語
この言葉と同じように、裏で物事を操る立場を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 差し金(さしがね):
陰で人をそそのかし、操ること。 - 首謀者(しゅぼうしゃ):
企みを主導した中心人物。 - フィクサー:
政治や経済の裏側で、争いの決着に力をふるう人物。
「黒幕」と類義語の違い
差し金・首謀者・フィクサーは、どれも裏側で力をふるう人物や行為を指すため、重なって見える言葉です。
何が隠れているかで分かれます。
| 語句 | 何が隠れているか |
|---|---|
| 黒幕 (くろまく) | 正体そのものが隠れている |
| 差し金 (さしがね) | 人を操る手口が隠れている |
| 首謀者 (しゅぼうしゃ) | 姿を隠すとは限らず、企みの中心にいる |
| フィクサー | 活動そのものが政治・経済の裏側に隠れている |
対義語
反対に、表舞台で公然と力をふるう立場を表す言葉は以下の通りです。
- 立役者(たてやくしゃ):
物事を成功に導いた中心人物。
英語表現
英語では、次のような言い方でこの立場を表します。
power behind the throne
表向きは特別な地位に見えないのに、権力を持つ人を陰で大きく動かしている人物を指す言い方。
Many believed his adviser was the real power behind the throne.
(多くの人が、彼の相談役こそ本当の黒幕だと考えていました。)
mastermind
計画全体を裏で考え、動かす張本人を指す言い方。
Police believe he was the mastermind behind the scheme.
(警察は、彼がこの計画の黒幕だったとみています。)
小さな黒幕を広げると、舞台の上の人がその場で消える
黒幕には、場面転換用の大きなものとは別に、「消し幕」と呼ばれる小さな黒幕があります。
死んだ役や姿を消す役のそばで、後見(= 役者を舞台上で助ける係)がこの布を広げて持ち、そのままゆっくり移動します。
黒は「見えないもの」という約束があるため、布の陰に隠れた人は観客の目から消えたように見えます。
化粧や衣装を変える早替わりの支度も、この消し幕の陰で行われます。
ただし歌舞伎十八番のような様式の強い演目では、舞台全体の華やかさを保つため、黒幕の代わりに鮮やかな赤い布(緋毛氈)が使われることもあります。










コメント