意味
「だんまり」とは、声を出さずに押し黙り、何も答えようとしないという意味です。
「だんまりを決め込む」の形で、聞かれても答えず、あえて沈黙を続ける態度を指すことが多い言葉です。
単に無口であることよりも、話すべき場面で口を閉ざす様子を表します。
また、断りなしに事をすること、つまり「無断」の意味でも使われます。
語源・由来
この言葉は、「黙り」が「だんまり」に変わった撥音添加の形とされています。
歌舞伎には、暗闇を舞台に何人もの登場人物が無言のまま互いを探り合い、奪い合う立ち回りを様式化した「だんまり」という演出があります。
台詞を一切使わず、動きと音楽だけで場面を進めるのが特色です。
元禄期(1688〜1704年ごろ)以来の暗闇での探り合いの型が土台になり、安永年間(1772〜1781年ごろ)に今の様式として定着したとされますが、確かな初例は分かっていません。
顔見世興行で役者紹介を目的に演じられる「時代だんまり」や、芝居の筋に組み込まれ後で謎を明かす「世話だんまり」など、いくつかの型があります。
「黙り」から転じたこの語形が、演出の名前としても日常語としても使われています。
使い方・例文
- 問い詰められても、彼は最後までだんまりを決め込んだ。
- 会議で意見を求められたのに、全員がだんまりのままだった。
- 都合の悪い質問になると、急にだんまりを通す癖がある。
- 弟が私の自転車をだんまりで乗って行ってしまった。
類義語・関連語
この言葉と同じように、あえて何も話さない様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 沈黙(ちんもく):
声を出さず、黙っていること。 - 口をつぐむ(くちをつぐむ):
話すのをやめて、黙り込むこと。
「だんまり」と類義語の違い
どれも黙っている様子を表す言葉で、沈黙の理由や態度の色合いで分かれます。
| 語句 | 沈黙の色合い |
|---|---|
| だんまり | 聞かれても答えない、意固地な沈黙 |
| 沈黙 (ちんもく) | 感情の色を出さない、中立的な無言 |
| 口をつぐむ (くちをつぐむ) | それまで話していたのを、あえて止める動き |
英語表現
英語では、次のような言い方でこの沈黙を表します。
keep silent
何も言わずに黙ったままでいることを指す、最も一般的な言い方。
He kept silent throughout the meeting.
(彼は会議のあいだ、ずっとだんまりを決め込んでいました。)
stonewall
質問や追及に対して、あえて答えず沈黙で応じることを指す言い方。
The company stonewalled every question from reporters.
(その会社は、記者のどの質問にもだんまりを通しました。)
舞台が暗いのに、客席には登場人物の姿が見えている
歌舞伎のだんまりでは、場面設定は真っ暗な夜のはずなのに、客席からは登場人物の姿がはっきり見えています。
これは、暗闇の中で互いの顔も分からないまま手探りで相手を探る様子を、ゆっくりとした様式的な動きで見せる約束事だからです。
登場人物どうしは互いに気づいていないという設定なので、すれ違いながらも触れ合わず、時には同じ品物を探り当てて奪い合います。
台詞も無いまま、動きの緩急と音楽だけで緊張感を作る演出のため、役者の体の動かし方そのものが見どころになります。
「世話だんまり」では、この探り合いの果てに誰が何を握っていたのかが、後の場面で明らかにされます。










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