意味
「飛行機雲が消え残ると雨(ひこうきぐもがきえのこるとあめ)」とは、飛行機が飛んだあとにできる白い雲(飛行機雲)が、すぐに消えずに長く残ったり広がったりするときは、まもなく雨が降る前触れだという意味です。
観天望気と呼ばれる、空の様子から天気の変わり目を読み取る経験則の一つです。
こうした天気の言い伝えは「天気のことわざ」や「天気俚諺」(= 天気に関することわざ)とも呼ばれます。
語源・由来
飛行機が空を飛ぶようになってから生まれた、比較的新しい観天望気です。
気象台がまとめた戦前の天気俚諺(= 天気を占うことわざ)集を見ると、東風や夕焼け、月の暈、星の瞬きなどの言い伝えは記録されていますが、飛行機雲を天気のサインとする言葉は見当たりません。
例えば昭和9年(1934年)に千葉県銚子測候所がまとめた『気候便覧』には「日笠、月笠は雨の兆」「星がまばたきするは雨又は風の兆」という記述が登場しますが、飛行機雲への言及はありません。
飛行機が一般的な乗り物になり、上空を日常的に飛ぶようになったのは第二次世界大戦後のことです。
地上から飛行機雲を頻繁に見かけるようになったのもこの頃からと考えられます。

(写真:Sergey Kustov、Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0)
飛行機雲が消え残る仕組み
飛行機雲は、ジェットエンジンから出る水蒸気や小さな粒子が、上空の冷たい空気で氷の粒に変わってできる雲です。
上空の空気が乾いていると、この氷の粒はすぐに蒸発して、飛行機雲もほどなく消えていきます。
反対に上空の湿度が高いと、氷の粒が蒸発せずに成長を続けるため、飛行機雲は消えずに残ったり、幅を広げたりします。
気象予報士の解説では、低気圧が近づくときは地上よりも先に上空から湿った空気に覆われ始めることが多いとされ、飛行機雲が長く残ったり広がったりする様子は、その上空の湿り気をとらえたサインだと説明されます。
使い方・例文
例文
- 飛行機雲が消え残ると雨というが、見上げた空の飛行機雲はすぐに消えた。
- 「飛行機雲が消え残ると雨」を思い出し、洗濯物を早めに取り込んだ。
- 登山中のガイドが「飛行機雲が消え残ると雨だから急ごう」と言った。
類義語・関連語
同じように空模様から天気の変化を読み取る観天望気には、次のような言い伝えもあります。
- 月に暈がかかると雨(つきにかさがかかるとあめ):
月や太陽の周りに光の輪が見えると、雨が近いとする言い伝え。 - 山に笠雲がかかると雨(やまにかさぐもがかかるとあめ):
山の頂上に笠のような雲がかかると、天気が崩れるとする言い伝え。 - 星が瞬くと風か雨(ほしがまたたくとかぜかあめ):
星の光が瞬いて見えると、風や雨が近いとする言い伝え。
天気にまつわる言い伝えは、以下の記事にもまとめています。
太平洋戦争中、飛行機雲は爆撃機を追う目印にもなった
太平洋戦争のさなか、飛行機雲は爆撃する側にとって不利な目印になることがありました。
1942年に発行された科学雑誌『科学眼』には、飛行機雲が現れると爆撃機を追跡しやすくなり、空襲する側が困る場合がある、という趣旨の記述が登場します。
高い高度を飛ぶ爆撃機は機体そのものが見えにくくても、後ろに伸びる白い筋は地上からよく目立ち、迎撃する側にとっては敵機の位置や進路を知る手がかりになりました。
同じ記事によれば、飛行機雲は当時の日本上空でも実際に何度か観測されていました。










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