意味
「兎の登り坂(うさぎののぼりざか)」とは、後ろ足の長い兎が坂道を苦もなく駆け上がる様子にたとえて、もともと持っている力を発揮できる条件がそろい、物事が早く進むことをいいます。
得意な分野に取り組む場面や、実力にふさわしい環境・好機を得た場面で使われます。
語源・由来
この言葉は、兎の体の特徴をそのまま由来としています。
兎は後ろ足が長く、坂を上るのを得意とする生き物です。
その様子から、持ち前の力を振るえる条件を得て、物事が早く進むことのたとえとして使われるようになりました。
漢字は「登り坂」「上り坂」のどちらの表記も見られますが、読みはどちらも「のぼりざか」です。
使い方・例文
- 新人のあの子は現場に出た途端に才能を発揮し、まさに兎の登り坂だ。
- 苦手だった英語も、留学先では兎の登り坂で上達していった。
- 得意先を任されてから、彼の営業成績は兎の登り坂の勢いだ。
類義語・関連語
この言葉と同様に、条件がそろえば力を発揮できる状況をたとえた言葉に、次のようなものがあります。
- 得手に帆を揚げる(えてにほをあげる):
得意なことを発揮できる好機が訪れ、勢いに乗って事を行うこと。
「兎の登り坂」と「得手に帆を揚げる」の違い
どちらも自分の得意なことで調子よく進む状況を指しますが、見ている場面が異なります。
「兎の登り坂」は坂道という条件そのものが自分に向いている状態を指すのに対し、「得手に帆を揚げる」は好機の到来に応じて自分から勢いに乗る行動を指します。
| 語句 | 見ている場面 |
|---|---|
| 兎の登り坂 (うさぎののぼりざか) | 条件が自分に向いている状態 |
| 得手に帆を揚げる (えてにほをあげる) | 好機に応じて勢いに乗る行動 |
英語表現
in one’s element
直訳は「自分の元素の中にいる」。
得意な環境や状況に身を置き、力を存分に発揮できる状態を指す表現。
She’s in her element when she’s coaching young players.
(彼女は若い選手を指導しているときこそ、実力を存分に発揮する。)
like a duck to water
直訳は「鴨が水になじむように」。
不慣れなはずの状況に、すぐに順応して力を発揮する様子を指す表現。
He took to public speaking like a duck to water.
(彼は人前で話すことに、まるで水を得た魚のようにすぐ慣れた。)
「烏兎匆匆」の兎は月、「兎の登り坂」の兎は後ろ足
「兎」が出てくる言葉は、それぞれ兎の別々の面に注目しています。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」は、一度に二つの獲物を狙う欲張りを戒める言葉です。
「烏兎匆匆」は、太陽を指す「烏」と月を指す「兎」を組み合わせ、月日が慌ただしく過ぎていく様子をたとえています。
「狡兎死して走狗烹らる」は、すばしっこい兎を捕らえ尽くした猟犬が用済みとして殺される故事で、功績があった家臣ほど後で危うくなるという教訓に使われます。
「兎の登り坂」が注目しているのは、坂道を上るのが得意な兎の後ろ足です。




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