意味
「猫の首に鈴を付ける(ねこのくびにすずをつける)」とは、いざ実行しようとすると危険で、引き受け手のいない難しいことのたとえです。
力の強い相手に対抗する名案のように思えても、実際に手を挙げて実行する者がいない場面で使われます。
語源・由来
この言葉は、古代ギリシャの寓話集「イソップ物語」に収められた一篇に由来します。
ある時、猫に襲われることを恐れたネズミたちが集まり、どうすれば危険から身を守れるか相談しました。
その中の一匹が、猫の首に鈴を付ければ近づいてくる音ですぐにわかると思いつき、みんなは名案だと大喜びします。
ところが、年寄りのネズミが「では、だれが猫に鈴を付けるのか」と尋ねると、だれも答えられず黙り込んでしまったといいます。
使い方・例文
- 会議で反対意見を社長に伝える役目を、猫の首に鈴を付ける気持ちで引き受けた。
- 良い解決策が出ても、猫の首に鈴を付ける人がいなければ話は進まない。
- 上司の独断をやめてもらおうと皆で話し合ったが、だれが猫の首に鈴を付けるのかで話が止まった。
英語表現
Bell the cat
集団のために危険な役目を引き受けること。
No one wanted to bell the cat and tell the boss about the mistake.
(だれもその失敗を上司に伝える役目を引き受けたがらなかった。)
「猫の首に鈴を付ける」の話、江戸初期の『伊曾保物語』に収録
「猫の首に鈴を付ける」の元になったネズミの話は、江戸時代初めの仮名草子『伊曾保物語』に収められています。
『伊曾保物語』は慶長・元和ごろに古活字本で刊行され、その後も版を重ねた教訓的な説話集で、1659年(万治2年)刊の整版本では下巻の第十七「ねずみども談合の事」がこの話にあたります。
これより前の1593年(文禄2年)には、イエズス会が九州の天草で『エソポのハブラス』を刊行しています。
イソップ物語を口語体のローマ字で訳した本で、日本で最初に翻訳された西洋文学とされますが、『伊曾保物語』とは直接の関係がなく、共通する話は25話だけです。




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