ことわざ 故事成語

義を見てせざるは勇無きなり

(ぎをみてせざるはゆうなきなり)

正しい行いだと分かっているのに実行しないのは、勇気が欠けているからだという孔子の教え。

異形:義を見てなさざるは勇無きなり

14文字の言葉 / 「き・ぎ」から始まる言葉
義を見てせざるは勇無きなり ことば
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意味

「義を見てせざるは勇無きなり(ぎをみてせざるはゆうなきなり)」とは、人として行うべき正しいことだと分かっていながら、それを行わないのは勇気が足りないからだという意味です。

  • 義(ぎ):筋道の通った正しい行い。
  • せざる:しない。「ざる」は打ち消し。
  • 勇無きなり(ゆうなきなり):勇気がないのである。

語源・由来

この言葉は、『論語』為政いせい篇にある孔子こうしの言葉に基づきます。
自分の祖先でもない霊を祭るのはへつらいだ、と述べたすぐ後に続く、次の一節が由来です。

子曰:「非其鬼而祭之,諂也。見義不爲,無勇也。」
(孔子は言った。自分の祖先でもない霊を祭るのは、へつらいである。行うべき正しいことを前にしながら行わないのは、勇気がないのである。)

「義」は、儒教で大切にされる五つの徳(「仁」「義」「礼」「智」「信」)の一つです。

使い方・例文

  • 駅の階段で倒れた人を見て、「義を見てせざるは勇無きなり」と自分に言い聞かせて駆け寄った。
  • 同僚の不正に気づきながら黙っていた私の胸に、義を見てせざるは勇無きなりという言葉が刺さった。
  • 部長は「義を見てせざるは勇無きなりだ。おかしいと思ったら声を上げてほしい」と語った。
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気が弱いという意味ではない

この言葉が責めているのは、正しいと分かっていることを行わない態度です。
単に気が弱い人や臆病な性格を表す言葉として使うのは誤りです。

関連語

  • 義侠心(ぎきょうしん):
    正義のために弱い人を助けようとする気持ち。おとこぎ。
    見出し語が正しい行いをしない弱さを戒める言葉なのに対し、こちらは助けようとする心そのものを指す語。

対義語

  • 触らぬ神に祟りなし(さわらぬかみにたたりなし):
    関わり合いにならなければ、余計な災いを受けずに済むという教え。

平安時代の成句集『世俗諺文』が収める

この句は、日本でも千年ほど前から知られていました。
平安時代の1007年にまとめられた『世俗諺文せぞくげんぶん』にも採られています。
この本は、文人の源為憲みなもとのためのりが藤原道長ふじわらのみちながの子の頼通よりみちのために、当時の成句やことわざを集めて出典を示したものです。
3巻のうち今に残るのは上巻だけで、「良薬は口に苦し」「大器晩成」などの成句が収められています。

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