意味
「義を見てせざるは勇無きなり(ぎをみてせざるはゆうなきなり)」とは、人として行うべき正しいことだと分かっていながら、それを行わないのは勇気が足りないからだという意味です。
- 義(ぎ):筋道の通った正しい行い。
- せざる:しない。「ざる」は打ち消し。
- 勇無きなり(ゆうなきなり):勇気がないのである。
語源・由来
この言葉は、『論語』為政篇にある孔子の言葉に基づきます。
自分の祖先でもない霊を祭るのはへつらいだ、と述べたすぐ後に続く、次の一節が由来です。
子曰:「非其鬼而祭之,諂也。見義不爲,無勇也。」
(孔子は言った。自分の祖先でもない霊を祭るのは、へつらいである。行うべき正しいことを前にしながら行わないのは、勇気がないのである。)
「義」は、儒教で大切にされる五つの徳(「仁」「義」「礼」「智」「信」)の一つです。
使い方・例文
- 駅の階段で倒れた人を見て、「義を見てせざるは勇無きなり」と自分に言い聞かせて駆け寄った。
- 同僚の不正に気づきながら黙っていた私の胸に、義を見てせざるは勇無きなりという言葉が刺さった。
- 部長は「義を見てせざるは勇無きなりだ。おかしいと思ったら声を上げてほしい」と語った。
気が弱いという意味ではない
この言葉が責めているのは、正しいと分かっていることを行わない態度です。
単に気が弱い人や臆病な性格を表す言葉として使うのは誤りです。
関連語
- 義侠心(ぎきょうしん):
正義のために弱い人を助けようとする気持ち。おとこぎ。
見出し語が正しい行いをしない弱さを戒める言葉なのに対し、こちらは助けようとする心そのものを指す語。
対義語
- 触らぬ神に祟りなし(さわらぬかみにたたりなし):
関わり合いにならなければ、余計な災いを受けずに済むという教え。
平安時代の成句集『世俗諺文』が収める
この句は、日本でも千年ほど前から知られていました。
平安時代の1007年にまとめられた『世俗諺文』にも採られています。
この本は、文人の源為憲が藤原道長の子の頼通のために、当時の成句やことわざを集めて出典を示したものです。
3巻のうち今に残るのは上巻だけで、「良薬は口に苦し」「大器晩成」などの成句が収められています。











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