意味
「手に余る(てにあまる)」とは、物事の量や難しさが自分の能力を超えていて、処理しきれないという意味です。
単に苦手というだけでなく、自分の限界をはっきり超えている状態を指す言い方です。
語源・由来
「余る」は、量や程度が限度を超えてあふれ出ることを表す言葉です。
「手に余る」は、この「余る」を手の働きと結び付け、自分の手でつかみきれない・扱いきれない量にまで達している様子を表しています。
使い方・例文
「(人)には手に余る」の形で、自分自身だけでなく他人の能力について述べるときにも使われます。
- この案件は一人には手に余るため、先輩に協力を仰いだ。
- 慣れない相談ごとまで任され、正直手に余ると感じている。
- 新人には手に余る仕事だと分かり、担当を代えてもらった。
類義語・関連語
この言葉と同様に、自分の力量を超えて対処できない状態を表す言葉に、次のようなものがあります。
- 手に負えない(てにおえない):
自分の力では扱いきれず、処置に困ること。
「手に余る」と「手に負えない」の違い
「手に余る」と「手に負えない」は、どちらも「自分の力では扱いきれない」という意味で、互いに言い換えても意味はほとんど変わりません。
| 語句 | 意味 | 使い方の例 |
|---|---|---|
| 手に余る (てにあまる) | 物事が自分の能力以上で、処置ができない | 一人では手に余る仕事 新人には手に余る交渉 |
| 手に負えない (てにおえない) | 自分の力ではどうにもならず、処置に困る | 親でも手に負えないわんぱくぶり 手に負えない事態 |
英語表現
英語では、能力を超えた仕事や問題を指す表現として、次のようなものがあります。
more than one can handle
自分の対処できる範囲を超えていることを表す表現。
This project is more than I can handle alone.
(このプロジェクトは、一人では手に余る。)
bite off more than one can chew
自分の能力を超えて仕事や責任を引き受けてしまうことを表す表現。
He bit off more than he could chew with this new role.
(彼はこの新しい役割で、手に余る仕事を引き受けてしまった。)
天明の打ちこわし、幕府は「手にあまり」なら切り捨てを許す
1787年(天明7年)5月、江戸では大勢の町人が家や店を打ち壊す「打ちこわし」が町じゅうに広がりました。
幕府は5月23日、長谷川平蔵ら先手組の頭10人に、市中を見回って暴れる者を捕らえ、町奉行に引き渡すよう命じます。
その命令には「尤手にあまり候はゝ切捨に致候而も不苦候」(ただし、手に余るようなら切り捨てにしてもかまわない)という一文が添えられていました。
捕らえようとしても取り押さえきれない場合を、「手に余る」と言っています。
「手に余る」は、自分の力では扱いきれないことを言う言葉として、江戸時代には役人が騒ぎを取り締まる命令の中でも使われていました。
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