「貧乏暇なし」「火の車」「粗衣粗食」「一汁一菜」など、貧乏や質素な暮らしを表すことわざ・四字熟語を集めました。
ことわざ・慣用句と四字熟語に分け、意味の種類ごとに読みと意味を紹介します。
最後に、「貧乏」の字を含んでいたり貧しさに近く見えたりしても、意味の違う言葉をまとめました。
もくじ
貧しくて暮らしに困ることを表すことわざ・慣用句
- 貧乏暇なし(びんぼうひまなし):
貧しいために暮らしに追われ、少しも時間のゆとりがないこと。
無沙汰をわびるときなどに、軽い調子で使うことも多い。 - 赤貧洗うが如し(せきひんあらうがごとし):
洗い流したあとのように何一つ持ち物がない、ひどい貧しさ。
「赤」は何も無いことを表す。「清貧洗うが如し」と言うのは誤り。 - 火の車(ひのくるま):
家計のやりくりがひどく苦しいこと。
地獄で罪人を運ぶという、炎の燃えさかる車にたとえた言葉。 - 首が回らない(くびがまわらない):
借金や支払いがかさんで、お金の工面がどうにもつかないこと。 - 爪に火をともす(つめにひをともす):
ろうそくの代わりに爪に火をともすほど、出費を切り詰めること。また、ひどく貧しい暮らしのたとえ。
極端にけちな様子を悪く言うときにも使う。 - 食うや食わず(くうやくわず):
毎日の食事も満足にとれないほど、暮らしに困っている様子。 - 無い袖は振れぬ(ないそではふれぬ):
持っていないものは、出したくても出せないこと。
お金がなくて、支払いや援助の求めに応じられないときに使う。 - 懐が寂しい(ふところがさびしい):
手持ちのお金が少なくて心細いこと。
「懐が寒い」ともいう。 - 糊口を凌ぐ(ここうをしのぐ):
どうにかこうにか暮らしを立てていくこと。
「糊口」は粥をすする意。飢えをこらえる意味で使うのは誤り。 - 顎が干上がる(あごがひあがる):
収入の道が絶たれて、食べていけなくなること。
食べる物がなく、口の中が乾いてしまう様子から。「口が干上がる」ともいう。 - 稼ぐに追い抜く貧乏神(かせぐにおいぬくびんぼうがみ):
どれほど懸命に働いても、貧しさから抜け出せないこと。
「稼ぐに追いつく貧乏なし」と逆のことを言う。
貧しさが人に及ぼすことを言うことわざ
- 貧すれば鈍する(ひんすればどんする):
貧乏をすると暮らしの苦しさに心の余裕を失い、頭の働きが鈍って品性まで卑しくなること。 - 貧乏人の子沢山(びんぼうにんのこだくさん):
暮らしの苦しい家には、とかく子どもが多いということ。 - 恒産なき者は恒心なし(こうさんなきものはこうしんなし):
決まった財産や仕事がない人は、ぐらつかない正しい心を持ち続けにくいということ。
中国の思想家、孟子の言葉。 - 四百四病より貧の苦しみ(しひゃくしびょうよりひんのくるしみ):
どんな病気にかかるよりも、貧乏のほうがつらいということ。
「四百四病」は、仏教でいう、人がかかるあらゆる病気のこと。 - 貧の盗みに恋の歌(ひんのぬすみにこいのうた):
人は差し迫った事情があれば、何でもしてしまうものだというたとえ。
貧しければ盗みに手を出し、恋をすれば歌まで作るようになることから。 - 貧家には故人疎し(ひんかにはこじんうとし):
貧しくなると、昔なじみの友人さえ寄りつかなくなるということ。
「故人」は亡くなった人ではなく、古くからの友人のこと。 - 貧は諸道の妨げ(ひんはしょどうのさまたげ):
貧乏だと、何をしようとしても思うようにいかないということ。
「諸道」は、芸事や学問、仕事など、さまざまな道のこと。
貧しさに負けない・貧しさにも良い面があることを言うことわざ
- 稼ぐに追いつく貧乏なし(かせぐにおいつくびんぼうなし):
休まず働いていれば、貧乏に苦しむことはないという教え。 - 武士は食わねど高楊枝(ぶしはくわねどたかようじ):
貧しくても気位を高く保ち、恥ずかしいことはしないというたとえ。
食事をしていなくても、食べたふりをして楊枝を使う武士の姿から。やせ我慢をすることにもいう。 - 貧乏は達者の基(びんぼうはたっしゃのもと):
貧しい人はよく働き、ぜいたくな物も口にしないので、かえって体が丈夫になるということ。 - 家貧しくして孝子顕る(いえまずしくしてこうしあらわる):
苦しい境遇にあるときこそ、立派な人がはっきり現れるということ。
貧しい家では子どもも家のために働くので、その親孝行ぶりが人の目につくことから。
貧しくても心は豊か・苦労を共にすることを表すことわざ
- 長者の万灯より貧者の一灯(ちょうじゃのまんとうよりひんじゃのいっとう):
物の多い少ないより、込めた真心が大切だというたとえ。
金持ちがともした万の灯明より、貧しい老女がやりくりしてともした一つの灯明のほうが尊いという仏典の話から。「貧者の一灯」ともいう。 - 襤褸を着ても心は錦(ぼろをきてもこころはにしき):
身なりはみすぼらしくても、心は気高く誇りを持っていること。
「錦」は色糸で模様を織り出した豪華な織物のこと。 - 糟糠の妻(そうこうのつま):
貧しいころから連れ添い、苦労を分け合ってきた妻。
「糟糠」は酒かすと米ぬかで、粗末な食べ物のこと。
貧しい暮らしを表す四字熟語
- 家徒四壁(かとしへき):
ひどく貧しいことのたとえ。
家の中に家財が何もなく、四方の壁だけが立っている様子から。中国の歴史書『史記』にある言葉。 - 三旬九食(さんじゅんきゅうしょく):
暮らしがひどく貧しいことのたとえ。
「三旬」は三十日(= ひと月)のことで、ひと月に九回しか食事ができない意から。 - 短褐穿結(たんかつせんけつ):
貧しい人が身にまとう、粗末でみすぼらしい服装。
「短褐」は丈の短い粗い布の着物、「穿結」は破れた所を結び合わせていること。 - 上漏下湿(じょうろうかしゅう):
貧しく粗末な住まいのたとえ。
天井から雨が漏れ、床もじめじめと湿っている意から。 - 困苦欠乏(こんくけつぼう):
暮らしに必要なものが足りず、困り苦しむこと。
質素・倹約を表す四字熟語
- 粗衣粗食(そいそしょく):
粗末な服と粗末な食事。質素な暮らしをいう。 - 一汁一菜(いちじゅういっさい):
ご飯に汁物一品とおかず一品だけの、ごく質素な食事。 - 質素倹約(しっそけんやく):
見栄を張らずに暮らしを切り詰め、無駄な出費を抑えること。 - 悪衣悪食(あくいあくしょく):
粗末な衣服と食事に甘んじること。
道を志す者は粗末な衣食を恥じてはならない、と孔子が説いた『論語』の言葉から。 - 縮衣節食(しゅくいせっしょく):
着る物や食べる物を切り詰めて、倹約すること。
「節衣縮食」ともいう。 - 勤倹力行(きんけんりっこう):
仕事に励み、倹約してつましく暮らすこと。 - 荊釵布裙(けいさいふくん):
女性の、飾り気のないつつましい身なりのたとえ。
いばらで作ったかんざしと、麻布の裳裾(= 腰から下にまとう衣)の意から。 - 土階三等(どかいさんとう):
住まいが飾り気なく、つつましいことのたとえ。
古代中国の伝説の名君、堯の宮殿は、土の階段が三段しかなかったことから。
貧しさの中の楽しみ・清らかさを表す四字熟語
- 箪食瓢飲(たんしひょういん):
粗末な飲み物と食べ物。また、貧しい暮らしに満足して心安らかに過ごすことのたとえ。
貧しい暮らしでも学問を楽しむ弟子の顔回を、孔子が褒めた『論語』の言葉から。竹の器一杯の飯と、ひさご(= ひょうたんを割った器)一杯の飲み物で暮らしたという。 - 曲肱之楽(きょくこうのたのしみ):
貧しい暮らしの中でも、正しい道を求めて生きる楽しみ。
ひじを曲げて枕にするような暮らしにも楽しみはある、という意から。 - 曽参歌声(そうしんのかせい):
貧しくても私欲にとらわれず、公明正大であることのたとえ。
孔子の弟子の曽参が、衣食にも事欠く暮らしの中でも、気高く澄んだ声で詩を歌い、その声が天地に満ちたという故事から。
貧乏・質素の意味で使うと注意が要る言葉
貧しさを表すように見えても、主な意味は別にある言葉です。
- 器用貧乏(きようびんぼう):
何でも一通りこなせるために一つのことに打ち込めず、結局は大成しないこと。その人を指すこともある。
「貧乏」とあっても、お金に困ることを言う言葉ではない。貧しい暮らしの意味で使うと話が通じなくなる。 - 篳路藍縷(ひつろらんる):
苦難に耐えて、新しく事業を始めることのたとえ。
粗末な車とぼろの着物の意。中心は物事を始める苦労で、ただ貧しいという意味だけで使うと主な意味が抜け落ちる。 - 一銭を笑う者は一銭に泣く(いっせんをわらうものはいっせんになく):
わずかなお金でも軽く見る人は、いずれそのわずかなお金に困るという戒め。
お金を大切にせよという教えで、貧しさを表す言葉ではない。貧乏の様子を言う場面で使うと意味がずれる。





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