太古の昔から狩猟のパートナーや番犬として、人間と苦楽を共にしてきた「犬」。
その忠誠心や鋭い嗅覚が称賛される一方で、卑しい存在や争いの比喩として使われることも少なくありません。
私たちの生活に最も身近な動物である「犬(戌)」にまつわる、心温まる教訓から厳しい戒めまでの多彩な表現をまとめました。
もくじ
忠誠や恩義を表す言葉
- 犬は三日飼えば三年恩を忘れない:
犬はわずかな期間の世話に対しても、長く恩義を感じ続けるということ。 - 犬馬の労(けんばのろう):
主君や他人のために、自分の体を張って精一杯尽くして働くこと。
行動や結果を表す言葉
- 犬も歩けば棒に当たる(いぬもあるけばぼうにあたる):
行動を起こせば思わぬ災難に遭う、または幸運に出会うことのたとえ。 - 夫婦喧嘩は犬も食わぬ(ふうふげんかはいぬもくわぬ):
夫婦の争いは些細ですぐ仲直りするため、他人が仲裁するものではない。 - 尾を振る(おをふる):
目上の人に対して、愛想を振りまきこびへつらう様子のたとえ。 - 犬に論語(いぬにろんご):
道理の通じない者に何を説いても無駄であり、全く効果がないこと。
争いや批判を表す言葉
- 犬猿の仲(けんえんのなか):
非常に仲が悪く、顔を合わせれば喧嘩ばかりしている険悪な関係。 - 負け犬の遠吠え(まけいぬのとおぼえ):
臆病な人が、陰でこそこそと威張ったり他人の悪口を言ったりすること。 - 飼い犬に手を噛まれる(かいいぬにてをかまれる):
日頃から面倒を見ていた者から、思わぬ裏切りや危害を受けること。 - 犬死に(いぬじに):
名誉も成果もなく、何の価値もない無駄な死に方をすること。
犬にまつわる四字熟語
- 鶏鳴狗盗(けいめいくとう):
鶏の鳴き真似と犬のような盗みの技が孟嘗君を救った故事。卑しい技も役立つとの教え。 - 狡兎死して走狗煮らる(こうとししてそうくにらる):
賢い兎が死ねば不要な猟犬も煮られる比喩。功臣が用済みになり粛清される悲哀を表す。 - 画虎類狗(がこるいく):
立派な虎を描こうとしたのに、出来上がりが下手な犬(狗)に似てしまう凡人の失敗。 - 蜀犬日に吠ゆ(しょくけんひにほゆ):
霧の多い蜀の地で、稀に出た太陽を怪しんで吠えた犬のように、無知ゆえに騒ぐこと。 - 喪家の狗(そうかのいぬ):
葬儀で忙しい主人が餌をやれず、痩せ衰えた家の犬に不遇な人を例えた言葉。 - 犬牙錯綜(けんがさくそう):
国境線などが犬の牙(犬牙)のように、複雑に噛み合って入り組んでいる様子。
英語圏における犬の表現
- Every dog has his day:
今は不遇でも、誰にでも一度は幸運な全盛期が巡ってくるということ。 - Let sleeping dogs lie:
そっとしておけば害がないものを、わざわざ刺激して問題を起こすな。 - It’s a dog eat dog world:
他者を蹴落としてでも生き残ろうとする、過酷で利己的な競争社会。
神社の「狛犬」は、もともと犬ではなかった

神社の門前に鎮座する「狛犬」ですが、本来は左右で異なる生き物でした。
口を開けた像が「獅子(ライオン)」、口を閉じた角を持つ像が「狛犬」と区別されており、一対で異なる聖獣を表していました。
時代が下るにつれて両者の区別が薄れ、角が省略されて現在の犬に近い姿へと変化していきました。
そのルーツは、インドから中国・朝鮮半島を経て日本へと伝わった聖獣像のペアにあります。
過去・未来の戌年年表
| 西暦 | 和暦 | 干支(十干十二支) |
|---|---|---|
| 1946年 | 昭和21年 | 丙戌(ひのえいぬ) |
| 1958年 | 昭和33年 | 戊戌(つちのえいぬ) |
| 1970年 | 昭和45年 | 庚戌(かのえいぬ) |
| 1982年 | 昭和57年 | 壬戌(みずのえいぬ) |
| 1994年 | 平成6年 | 甲戌(きのえいぬ) |
| 2006年 | 平成18年 | 丙戌(ひのえいぬ) |
| 2018年 | 平成30年 | 戊戌(つちのえいぬ) |
| 2030年 | 令和12年 | 庚戌(かのえいぬ) |
| 2042年 | 令和24年 | 壬戌(みずのえいぬ) |
| 2054年 | 令和36年 | 甲戌(きのえいぬ) |
| 2066年 | 令和48年 | 丙戌(ひのえいぬ) |
| 2078年 | 令和60年 | 戊戌(つちのえいぬ) |
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