「下手の横好き」「嘴が黄色い」「稚拙」「青二才」など、腕前が下手なこと、経験が浅く未熟なこと、生かじりの知識、子どもっぽく拙いことを表す言葉を集めました。
意味ごとに節に分けて、読みと意味を紹介します。
最後に、下手・未熟と取り違えやすい言葉と、反対の意味の言葉をまとめました。
もくじ
下手を表すことわざ
- 下手の横好き(へたのよこずき):
下手なのに、そのことが好きでたまらず、熱心に打ち込むこと。
自分の趣味を控えめに言うときによく使う。「下手の物好き」ともいう。 - 下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる(へたなてっぽうもかずうちゃあたる):
腕が未熟でも、何度も試みるうちには、まぐれで成功することもあるということ。
自分の成功を謙遜して言うときに使う。人のまぐれ当たりをひやかすときにも使うが、相手によっては直接言うと失礼になる。「下手な鉄砲も数撃てば当たる」ともいう。 - 下手の考え休むに似たり(へたのかんがえやすむににたり):
下手な人がいくら考え込んでも、時間ばかりかかって、休んでいるのと変わらないということ。
もとは囲碁や将棋で、長く考え込む相手を軽くからかう言葉。 - 下手の長談義(へたのながだんぎ):
話の下手な人ほど、要領を得ない話を長々と続けること。
自分の話を締めくくるときに、へりくだって使うこともある。 - 下手の道具調べ(へたのどうぐしらべ):
腕の悪い人に限って、道具の良し悪しにあれこれこだわること。
下手な人ほど準備を大げさにする、という意味でも使う。「下手の道具立て」ともいう。 - 下手な鍛冶屋も一度は名剣(へたなかじやもいちどはめいけん):
腕の劣る人でも、根気よく続けていれば、たまには良い結果を出せることがあるということ。
下手な刀鍛冶でも、数多く打てば一振りは名剣ができる、というたとえから。 - 下手があるので上手が知れる(へたがあるのでじょうずがしれる):
下手な人がいるからこそ、上手な人のうまさが目立つということ。
比べる相手があってはじめて、上手か下手かが分かるという考え。自分の腕前を弁護したり、下手な人をかばったりするときに使う。 - 早い者に上手なし(はやいものにじょうずなし):
仕事の手が早い人は、仕上がりが雑になりがちだということ。
急いで片づけることを戒めて言う。 - 口自慢の仕事下手(くちじまんのしごとべた):
口では達者なことを言うのに、実際の仕事はまるでできないこと。
「口叩きの手足らず」「口上手の商い下手」も同じ意味。
未熟・経験が浅いことを表すことわざ・慣用句
- 嘴が黄色い(くちばしがきいろい):
年が若く、経験が足りないこと。
ひな鳥のくちばしが黄色いことからいい、若い人の未熟さをあざける言い方になる。 - 口なお乳臭し(くちなおちちくさし):
年がまだ若く、経験の足りないことのたとえ。
口にまだ乳のにおいが残っている、という意味。のちに漢を開いた劉邦が、敵の大将をまだ若く経験が浅いと見て言った言葉から。 - 堂に升りて室に入らず(どうにのぼりてしつにいらず):
学問や技芸が一定のところまで進んではいるが、まだ奥深いところまでは極めていないこと。
「堂」は表座敷、「室」は奥の間のこと。『論語』で、孔子が弟子の腕前を評した言葉から。 - 鵜のまねをする烏(うのまねをするからす):
自分の力を考えずに人のまねをして、失敗することのたとえ。
鵜のように水に潜って魚を捕ろうとした烏が、おぼれてしまうことから。
生かじり・付け焼き刃を表すことわざ・言葉
- 生兵法は大怪我の基(なまびょうほうはおおけがのもと):
中途半端に身につけた知識や技に頼ると、思わぬ大失敗を招くということ。
「生兵法」は、少しかじっただけの武術のこと。 - 付け焼き刃(つけやきば):
その場をしのぐために急いで覚えた、身についていない知識や技。
切れ味の悪い刀に鋼の刃だけを付けた、見かけ倒しの刀のことから。 - 論語読みの論語知らず(ろんごよみのろんごしらず):
書物の中身を知識として知っていても、それを生かして行動できないこと。
儒教の大切な書物『論語』をすらすら読めても、教えが身についていない、という意味から。 - 耳学問(みみがくもん):
自分で読んだり調べたりしたのではなく、人の話から仕入れた知識。
聞きかじりで、身についていない知識をいう。 - 半可通(はんかつう):
よく分かっていないのに、その道に通じた人のようにふるまうこと。また、そういう人。
下手・未熟を表す四字熟語
- 一知半解(いっちはんかい):
物事を中途半端にしか分かっていないこと。
聞きかじり程度の浅い知識をいう。 - 眼高手低(がんこうしゅてい):
目標や見る目は高いのに、自分の腕前がそれに追いつかないこと。特に、人の作品を批評するのはうまいが、自分では良いものを作れないことをいう。 - 志大才疎(しだいさいそ):
志は大きいのに、それに見合う才能が足りないこと。
「才疎」は、才能が粗く、行き届いていないこと。 - 紙上談兵(しじょうだんぺい):
理屈の上だけの議論で、実際には役に立たないことのたとえ。
紙の上で戦の作戦を論じる、という意味から。 - 記問之学(きもんのがく):
書物を暗記するだけで、実際の暮らしや仕事に生かせない学問。
「記問」は、本や人の説を覚え込むこと。 - 浅学非才(せんがくひさい):
学問が浅く、才能も乏しいこと。
自分のことをへりくだって言うときに使う。
下手・未熟・稚拙を表す言葉
- 未熟(みじゅく):
腕前や知識が、まだ一人前の段階まで育っていないこと。
果物や作物がまだ熟していないことにもいう。 - 稚拙(ちせつ):
子どもじみていて下手なこと。
「稚拙な文章」「稚拙な字」のように使う。 - 拙劣(せつれつ):
技術や出来が劣っていて、下手なこと。
「稚拙」が子どもじみた下手さを言うのに対し、「拙劣」は主に技術や出来が劣ることを言う。 - 拙い(つたない):
物事のやり方がうまくないこと。また、能力が劣っていること。
「拙い文章ですが」のように、自分のものをへりくだって言うときにも使う。 - 幼稚(ようち):
考え方ややり方が子どもっぽく、十分に発達していないこと。
年が幼いことの意味もある。 - へぼ:
技術や芸が劣っていること。また、その人。
「へぼ将棋」のように、ほかの語の頭に付けても使う。 - 半人前(はんにんまえ):
技能や働きが一人前の半分ほどで、まだ一人前になっていないこと。
食べ物などの、一人分の半分の量にもいう。 - 新米(しんまい):
仕事や物事を始めてから日が浅く、まだ慣れていない人。
新入りを指す「新前」がなまった語とされる。 - 駆け出し(かけだし):
物事を始めたばかりで、まだ未熟なこと。また、その人。
山伏が修行を終えて山から出てきたばかりのことを言った「駆け出で」から。 - 若輩(じゃくはい):
年が若く、経験が浅いこと。また、その人。
多くは「若輩者ですが」のように自分をへりくだって言う。人に向けると、見下す意味になる。 - 青二才(あおにさい):
年が若く、経験の浅い男性。
あざけって言うことが多いが、「まだ青二才の私ですが」のように謙遜にも使う。 - 黄口児(こうこうじ):
若くて経験の足りない者を、見下して呼ぶ語。
ひな鳥の黄色いくちばしにたとえた「黄口」に、人を表す「児」が付いた語。 - 乳臭児(にゅうしゅうじ):
まだ乳のにおいが抜けない子どものように、若くて未熟な者。
「口なお乳臭し」と同じ故事から出た言葉で、ばかにして言う。 - 大根役者(だいこんやくしゃ):
演技の下手な役者を、さげすんでいう語。
単に「大根」ともいう。 - 埴猪口(へなちょこ):
腕前の未熟な人や、役に立たない人をあざけって言う語。
下手・未熟と取り違えやすい言葉・反対の意味の言葉
「下手」の字が入っていたり、下手と関係がありそうに見えたりしても、下手・未熟の意味ではない言葉と、下手とは反対の意味の言葉です。
下手・未熟を表すつもりで使うと、意味が通じなかったり逆になったりします。
- 下手に出る(したてにでる):
相手に対して、へりくだった態度をとること。
この「下手」は「したて」と読み、相手より低い立場に身を置くことをいう。腕前の意味は無いので、「へたにでる」と読んだり、技量の話に使ったりすると意味が通じない。 - 呉下の阿蒙にあらず(ごかのあもうにあらず):
以前とは見違えるほど、学問や見識が伸びたこと。
三国時代の呉の武将・呂蒙が学問に励み、昔とは別人のようだとほめられた話から。「呉下の阿蒙」だけなら進歩しない学問のない人のたとえだが、「〜にあらず」が付くと逆にほめる言葉になる。 - 大巧は拙なるが若し(たいこうはせつなるがごとし):
本当に優れた腕前の人は、飾り気がなく、かえって下手に見えるということ。
『老子』にある言葉。 - 多芸は無芸(たげいはむげい):
多くの芸を身につけた人は、かえって一つの芸を深く極められず、無芸と変わらないということ。
何をしても下手な人ではなく、多くの芸に手を広げる人について言う。 - 弘法筆を選ばず(こうぼうふでをえらばず):
名人は道具の良し悪しを問わず、どんな道具でも見事に使いこなすということ。
書の名人とされた弘法大師(空海)の名を借りたことわざで、「下手の道具調べ」と反対の意味。





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