インドネシアの有名なことわざ30選|多様な文化と暮らしの知恵

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インドネシアの有名なことわざ 【特集】ことわざ・慣用句・四字熟語

17,000以上の島々からなり、多様な民族と文化が息づくインドネシア。
その国是「Bhinneka Tunggal Ika(多様性の中の統一)」が示す通り、インドネシアのことわざ(Peribahasa:プリバハサ)には、イスラム教の教え、熱帯の豊かな自然、そして地域社会で助け合う「ゴトン・ロヨン(相互扶助)」の精神が色濃く反映されています。

「ご飯がお粥になってしまった(覆水盆に返らず)」といったユニークな食の比喩から、虎や象が登場するダイナミックな教訓まで。
今回は、インドネシア語学習者はもちろん、東南アジアの文化に興味がある方に向けて、インドネシアで広く親しまれている有名なことわざ30選を、意味・由来・カタカナ読み付きで解説します。

もくじ
  1. 【共同体・人間関係】助け合いの精神(ゴトン・ロヨン)
  2. 【自然・動物】熱帯の生き物から学ぶ
  3. 【生活・行動】日々の知恵と戒め
  4. 【努力・成功】コツコツと積み上げる
  5. 【特集記事】
    世界の有名なことわざ

【共同体・人間関係】助け合いの精神(ゴトン・ロヨン)

インドネシア社会の根幹である、互いに助け合い、調和を重んじる精神を表す言葉です。

重い荷物は共に担ぎ、軽い荷物は共に提げる

Berat sama dipikul, ringan sama dijinjing.
(ブラット・サマ・ディピクル、リンガン・サマ・ディジンジン)

重いものは肩に担ぎ、軽いものは手に提げる。
どんなに困難なことも、逆に些細で楽なことも、共同体の仲間や家族と一緒に分かち合うべきだという、インドネシアの相互扶助(ゴトン・ロヨン)精神を象徴する最も有名なことわざです。

大地を踏む所では、そこの空を支えよ(敬え)

Dimana bumi dipijak, disitu langit dijunjung.
(ディマナ・ブミ・ディピジャック、ディシトゥ・ランギット・ディジュンジュン)

郷に入っては郷に従え
自分が立っている大地(土地)の慣習やルールを尊重し、それを守る(空を支える)べきだという教え。
多くの民族や文化が混在するインドネシアにおいて、他者の文化を尊重するための重要なマナーです。

犬が吠えても、隊商(カフィラ)は進む

Anjing menggonggong, kafilah berlalu.
(アンジン・ムンゴンゴン、カフィラ・ブラル)

犬がどれだけ吠えかかろうとも、隊商は気にせず通り過ぎていく。
根拠のない批判や中傷があっても、自分の信念を持って目標に向かいなさいという励ましの言葉。
柳に風」のように受け流す強さを説いています。

あなたの口は、あなたの虎である

Mulutmu harimaumu.
(ムルッム・ハリマウム)

口は災いの元
不用意な発言は、まるで獰猛な虎のように自分自身に襲いかかり、身を滅ぼす原因になる。言葉には責任を持ち、慎重であるべきだという強い戒めです。

垣根が作物を食べる

Pagar makan tanaman.
(パガール・マカン・タナマン)

飼い犬に手を噛まれる
作物を守るはずの垣根が、逆に作物を食べてしまう。
最も信頼していた身内や、守ってくれるはずの人から裏切られることのたとえです。

違う畑には違うバッタ、違う淵には違う魚

Lain ladang lain belalang, lain lubuk lain ikannya.
(ライン・ラダン・ライン・ブララン、ライン・ルブック・ライン・イカンニャ)

所変われば品変わる
場所が変われば、そこに住む生き物も違うように、習慣や文化も異なる。
多様性を認め、自分たちのやり方を押し付けてはいけないという、多民族国家ならではの知恵です。

母の愛は道すがら、子の愛は一区切り

Kasih ibu sepanjang jalan, kasih anak sepanjang penggalan.
(カシ・イブ・スパンジャン・ジャラン、カシ・アナック・スパンジャン・プンガラン)

親の心子知らず」に近いニュアンス。
母親の愛情は道のように果てしなく続くが、子供から親への愛情は物干し竿の区切りのように短く限定的だ。
親の無償の愛と、それに十分に応えられない子供の現実を切なく表現しています。

【自然・動物】熱帯の生き物から学ぶ

身近な動物や植物を使った、分かりやすくも深い洞察に満ちた教訓です。

静かな水は人を流す

Air tenang menghanyutkan.
(アイル・トゥナン・ムンハニュッカン)

能ある鷹は爪を隠す
表面が穏やかな川ほど、底流は速く危険である。
おとなしそうに見える人ほど、実はすごい実力を持っていたり、逆に怒らせると怖かったりするという意味で使われます。

二つに割ったビンロウジ(実)のよう

Bagai pinang dibelah dua.
(バガイ・ピナン・ディブラ・ドゥア)

「瓜二つ」
ビンロウジ(ヤシ科の植物)の実は、割ると中身が左右対称でそっくりです。
非常によく似ている親子や、お似合いのカップルを指して使われる肯定的な表現です。

虎は死して縞を残し、象は死して牙を残す

Harimau mati meninggalkan belang, gajah mati meninggalkan gading.
(ハリマウ・マティ・ムニンガルカン・ブラン、ガジャ・マティ・ムニンガルカン・ガディン)

動物が死後に皮や牙を残すように、人間は死後に「名声(良い行いや功績)」を残すべきだ。
虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」。生前の行いが死後の評価を決めるという教訓です。

どんなに上手なリスも、いつかは落ちる

Sepandai-pandai tupai melompat, akhirnya jatuh juga.
(スパンダイ・パンダイ・トゥパイ・ムロンパット、アヒルニャ・ジャトゥ・ジュガ)

猿も木から落ちる
木登りの名手であるリスでも、時には失敗して落ちることがある。
達人でも失敗はあると慰める時や、悪事を働いてうまく逃げ回っている人もいつかは捕まる、という意味でも使われます。

ココナッツの殻の下のカエル

Seperti katak di bawah tempurung.
(スプルティ・カタック・ディ・バワ・トゥンプルン)

井の中の蛙大海を知らず
ココナッツの殻の中に閉じこもっているカエルは、外の広い世界を知らない。
視野が狭く、自分の知識だけで満足している人を戒める言葉です。

インディゴ一滴で、鍋のミルクがダメになる

Karena nila setitik, rusak susu sebelanga.
(カレナ・ニラ・スティティック、ルサック・スス・スブランガ)

真っ白なミルクの大鍋に、ほんの一滴の青い染料(インディゴ)が落ちただけで、全体が飲めなくなってしまう。
たった一つの過ちや欠点が、全体の価値や長年の功績を台無しにしてしまうことのたとえです。

象が目の前にいても見えず、海の向こうのアリは見える

Gajah di pelupuk mata tak tampak, semut di seberang lautan tampak.
(ガジャ・ディ・プルプック・マタ・タック・タンパック、スムット・ディ・スブラン・ラウタン・タンパック)

灯台下暗し」や「自分のことは棚に上げる」。
自分の大きな欠点(目の前の象)には気づかないのに、他人の些細な欠点(遠くのアリ)ばかり目ざとく指摘する人を皮肉った言葉です。

ひび割れのない象牙はない

Tak ada gading yang tak retak.
(タック・アダ・ガディン・ヤン・タック・ルタック)

どんなに美しい象牙にも微細なひび割れがあるように、完璧な人間や完璧な仕事など存在しない。
「玉に瑕(きず)」。欠点があることを許容し、完璧主義を戒める寛容な言葉です。

【生活・行動】日々の知恵と戒め

食事や家事など、日常生活に根ざした実践的なアドバイスです。

ご飯はすでにお粥(ブブール)になった

Nasi sudah menjadi bubur.
(ナシ・スダ・ムンジャディ・ブブール)

覆水盆に返らず
一度お粥になってしまった米は、もう二度とご飯には戻らない。
してしまったことは取り返しがつかないので、くよくよしても仕方がない(あるいは諦めるしかない)という意味で使われます。

潜りながら水を飲む

Sambil menyelam minum air.
(サンビル・ムニェラム・ミヌム・アイル)

一石二鳥
水に潜るついでに水も飲む(※実際には難しそうですが)。
一つの行動で二つの利益を得る、あるいは仕事をしながら別の楽しみも得るといった、ちゃっかりとした効率の良さを表します。

支柱より杭(くい)が大きい

Besar pasak daripada tiang.
(ブサール・パサック・ダリパダ・ティアン)

家を支える主柱よりも、それを固定する小さな杭の方が大きい。
収入(柱)よりも支出(杭)の方が多い、「赤字」の状態を表す経済的なことわざです。
本末転倒」のニュアンスも含みます。

空の容器は音が大きい

Tong kosong nyaring bunyinya.
(トン・コソン・ニャリン・ブニニャ)

中身の入っていないドラム缶ほど、叩くと大きな音が響く。
知識や実力のない人ほど、よく喋り、自慢話や大言壮語をするものだ。
能ある鷹は爪を隠す」の逆説的な表現です。

煙あるところに火あり

Ada asap ada api.
(アダ・アサップ・アダ・アピ)

火のない所に煙は立たぬ
噂が立つからには、何かしらの原因や事実があるはずだ。物事には必ず原因があるという因果関係を示しています。

評判は実物より美しい

Indah kabar daripada rupa.
(インダ・カバール・ダリパダ・ルパ)

聞いて極楽見て地獄」「看板に偽りあり」。
噂で聞いていた素晴らしい評判に比べて、実際の実物(姿)は大したことがなかった。期待外れだった時に使われる表現です。

【努力・成功】コツコツと積み上げる

忍耐強く努力することの重要性を説く、前向きな言葉たちです。

少しずつ、やがて丘となる

Sedikit demi sedikit, lama-lama menjadi bukit.
(スディキット・ドゥミ・スディキット、ラマラマ・ムンジャディ・ブキット)

塵も積もれば山となる
ほんの少しの土でも、長い時間をかけて積み上げれば丘になる。貯金や勉強など、地道な努力の大切さを説く定番のフレーズです。

いかだで上流へ、泳いで岸へ(苦労の後に楽あり)

Berakit-rakit ke hulu, berenang-renang ke tepian.
(ブラキットラキット・ク・フル、ブルナンルナン・ク・トゥピアン)

この後に「Bersakit-sakit dahulu, bersenang-senang kemudian(まず苦しんで、後で楽しむ)」と続きます。
目標を達成するためには、まず苦労(上流へ漕ぐ)をしなければならない。努力の先には必ず成功や楽しみが待っているという励ましの言葉です。

倹約は富の源、勤勉は知恵の源

Hemat pangkal kaya, rajin pangkal pandai.
(ヘマット・パンカル・カヤ、ラジン・パンカル・パンダイ)

学校のスローガンとしてもよく使われる言葉。
お金持ちになりたければ倹約し、賢くなりたければ勤勉に学びなさい。成功への王道を説くシンプルな教えです。

尋ねることを恥じれば、道に迷う

Malu bertanya sesat di jalan.
(マル・ブルタニャ・スサット・ディ・ジャラン)

聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥
知らないことを恥ずかしがって人に聞かないと、結局は道に迷って目的地に着けなくなる。
分からないことは素直に質問すべきだという、学習の基本姿勢です。

慣れているから、打ち勝てる(習うより慣れろ)

Alah bisa karena biasa.
(アラ・ビサ・カレナ・ビアサ)

直訳すると「慣れによって(困難は)負かされる」。
最初は難しくても、習慣にして繰り返していれば、自然とできるようになる。「継続は力なり」と同じく、習慣の力を強調しています。

遅くても、安全ならばよし

Biar lambat asal selamat.
(ビアール・ランバット・アサル・スラマット)

急がば回れ
スピードよりも安全性が第一。焦って事故を起こすよりは、ゆっくりでも確実に目的地に着く方が良いという、交通安全標語のような教えです。

体は土に砕けても、善行は記憶される

Hancur badan dikandung tanah, budi baik dikenang juga.
(ハンチュール・バダン・ディカンドン・タナ、ブディ・バイク・ディクナン・ジュガ)

肉体は死んで土に還るが、生前に行った善い行い(ブディ・バイク)は人々の記憶の中に生き続ける。
人生で最も大切なのは財産ではなく、徳を積み、他人に親切にすることだと説く、精神性を重んじる言葉です。

【特集記事】
世界の有名なことわざ

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