恩に報い徳に感謝する「報恩謝徳」、恩を忘れない「飲水思源」「一飯千金」、親の恩に報いる「慈烏反哺」など、感謝と恩を表す四字熟語を中心に集めました。
「恩に着る」「足を向けて寝られない」のような慣用句、「恩を仇で返す」のように恩知らずを戒めることわざ、主に手紙文で用いる「恐悦至極」もあわせて、読み・意味とともに紹介します。
もくじ
恩をありがたく思う気持ちを表す四字熟語
- 一言芳恩(いちごんほうおん):
ひとこと声をかけてもらったことに恩を感じて、その人を主と仰ぎ、従い仕えること。
また、その相手をいう。 - 報恩謝徳(ほうおんしゃとく):
恩に報い、徳に感謝すること。 - 恐悦至極(きょうえつしごく):
目上の人に関したことやその好意などを、たいそう喜ばしく思う様子。
「恐悦」はかしこまって喜ぶこと、「至極」はこの上ないことで、主に手紙文で用いる。
「お世話になっておりまして、まことに恐悦至極」のように、目上の人から受けた好意への礼にも使われる。
恩を忘れず、恩に報いる四字熟語
- 一宿一飯(いっしゅくいっぱん):
一晩泊めてもらい、一度食事をふるまわれること。
旅の途上などで、通りがかりにちょっと世話になることをいう。
もとは博徒などが用いた語で、博徒の間の仁義では、一宿一飯の恩義は生涯の恩義とされていた。 - 飲水思源(いんすいしげん):
物事の基本を忘れてはならないというたとえ。
また、人から受けた恩を忘れてはいけないという戒め。
水を飲むとき、その水源のことを思うという意味から。 - 一飯千金(いっぱんせんきん):
わずかな恩でも忘れず、十分な恩返しをするたとえ。
貧しかった若いころの漢の韓信が、ある老婆に数十日間食事の世話になり、出世したのちにその老婆へ千金を与えたという「史記」の故事から。 - 報本反始(ほうほんはんし):
祖先の恩に報いること。
「礼記」郊特牲篇の「本に報い、始めに反る」から出た言葉。 - 知恩報徳(ちおんほうとく):
恩を知り、その恩に報いること。
仏教、特に浄土真宗の法話では、仏から受けた恩の深さを知り、その恩に報いようとする心をいう言葉として説かれてきた。
感謝・恩返しを表す漢語
- 感恩(かんおん):
人から受けた恩や好意を、ありがたく思うこと。
「感恩の涙」のように使う。 - 結草(けっそう):
受けた恩に報いること。
春秋時代、晋の魏顆が、父の死後、父の愛妾を殉死させずに他家へ嫁がせたところ、のちの秦との戦いで、その女性の父の霊が現れて草を結び、敵将をつまずかせて魏顆に手柄を立てさせたという「春秋左氏伝」の故事から。
親の恩と親孝行を表す四字熟語
- 慈烏反哺(じうはんぽ):
成長した子が、親から受けた恩に報いて孝行を尽くすこと。
カラスの子は育つと、年老いた親鳥に餌を口移しで食べさせて養うという、中国の言い伝えから。 - 寸草春暉(すんそうしゅんき):
親から受けた大きな恩に報いようとする、子のささやかな努力。
小さな草を子の心に、春の日ざしを親の恵みにたとえたもので、唐の孟郊の詩「遊子吟」から出た言葉。 - 冬温夏凊(とうおんかせい):
冬は暖かく、夏は涼しく過ごせるように、子が父母に気を配って仕える親孝行のこと。
「凊」は涼しいという意味。 - 温凊定省(おんせいていせい):
親に孝養を尽くす心がけを説いた言葉。
冬は暖かく夏は涼しく過ごせるように気を配り、夜には寝床を整え、朝には機嫌をうかがうという意味で、「礼記」から。
「定省温凊」ともいう。
親の恩を表すことわざ・言葉
- 子を持って知る親の恩(こをもってしるおやのおん):
自分が親となって子を育ててみて、初めて親のありがたさが身にしみて分かるということ。 - 孝行のしたい時分に親はなし(こうこうのしたいじぶんにおやはなし):
親の気持ちが分かる年になって孝行がしたいと思っても、もう親はいない。
親が生きているうちに孝行しておけばよかったと後悔することが多いという意味。 - 顧復の恩(こふくのおん):
子をいつくしみ育てる父母の恩。 - 罔極の恩(もうきょくのおん):
きわまりない恩のことで、父母から受けた高い恩をいう。
「詩経」小雅の「蓼莪」から出た言葉。 - 打つも撫でるも親の恩(うつもなでるもおやのおん):
子をしかって打つのも、ほめてなでるのも、みな親の愛情の表れであるということ。 - 反哺の孝(はんぽのこう):
親を養う孝行のたとえ。
「反哺」は、育ったカラスの子が、親鳥にしてもらったのとは逆に、親鳥に餌を食べさせること。
感謝・恩を表す慣用句とことわざ
- 恩に着る(おんにきる):
受けた恩をありがたく思うこと。
「恩に着ます」が正しい形で、「恩に着ります」とするのは誤り。 - 頭が上がらない(あたまがあがらない):
恩義や負い目、力の差などから相手に引け目を感じて、対等に振る舞えない様子。 - 足を向けて寝られない(あしをむけてねられない):
恩を受けた人への感謝や尊敬の気持ちを表す言い方。
人に足を向けるのは相手をないがしろにすることになるため、恩人には寝るときでさえ足を向けられないということ。 - 犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ(いぬはみっかかえばさんねんおんをわすれぬ):
犬は三日飼われただけでも、その恩を三年忘れないということ。
受けた恩は、わずかなことでも長く忘れてはならないという教え。 - 一飯の恩(いっぱんのおん):
一度食事をふるまわれた程度の、わずかな恩。
「一飯の恩も必ず報ゆべし」のように、小さな恩でも忘れずに報いるべきだという文脈で使われてきた。 - 礼は急げ(れいはいそげ):
謝礼や返礼は、できるだけ急いでせよということ。
気持ちが薄れないうちに、また時期を逃して礼を欠くことのないようにという戒め。 - 恩を返す(おんをかえす):
受けた恩に報いること。
相撲で、若い力士が稽古をつけてくれた先輩力士を、本場所の土俵で負かすことにもいう。
恩知らず・恩着せを表す言葉
- 恩を仇で返す(おんをあだでかえす):
恩返しをしないで、かえって恩人に害を与えること。
人の道に反する行いとして、強い非難を込めて使う。 - 大恩は報ぜず(だいおんはほうぜず):
小さな恩は負い目に感じて返そうとするが、あまりに大きな恩にはかえって気づかず、報いようともしないものだということ。 - 猫は三年の恩を三日で忘れる(ねこはさんねんのおんをみっかでわすれる):
猫は三年かわいがられても、その恩をわずか三日で忘れてしまうという意味。
反対に犬については「犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ」という。 - 下種の逆恨み(げすのさかうらみ):
心の卑しい者は、好意から忠告してくれたことでも悪口と受け取り、感謝するどころか、かえってその人を恨む様子。 - 恩知らず(おんしらず):
恩を受けてもありがたいと思わず、それに報いる気のないこと。
また、そういう人。 - 恩に着せる(おんにきせる):
恩を施したことを理由に、相手にことさらありがたく思わせようとすること。
「恩に掛ける」ともいう。 - 恩を売る(おんをうる):
相手からの感謝や見返りなどを期待して、恩を施す振る舞い。
恨みに恩で報いる言葉
- 仇を恩で報ずる(あだをおんでほうずる):
恨みのある相手に仕返しをせず、かえって情けをかけること。
「恩を仇で返す」の反対の言葉で、「仇を恩で報いる」ともいう。 - 怨みに報ゆるに徳を以てす(うらみにむくゆるにとくをもってす):
ひどい仕打ちをされ、恨まずにはいられない相手にも、広い心で恩恵を施すという教え。
「老子」にある言葉。
出会いと縁を大切にする言葉
- 一期一会(いちごいちえ):
一生に一度しかない出会い。
もとは茶の湯の心得で、茶会は毎回一生に一度だという思いで、主客ともに誠意を尽くすべきだと説いた語。
のちに、人との出会いを大切にするという意味で広く使われるようになった。 - 袖振り合うも多生の縁(そでふりあうもたしょうのえん):
道で人と袖が触れ合うようなちょっとしたことでも、前世からの因縁によるものだということ。
「多生」は仏教の言葉で、何度も生まれ変わることをいう。
「他生の縁」とも書くが、「多少の縁」と書くのは誤り。




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