「冬将軍」「三寒四温」のように冬の寒さや天気を表す言葉がある一方、「夏炉冬扇」「三余」のように、夏と冬を取り合わせた言葉や、「冬」が一年の余りなど別の意味になる言葉もあります。
冬にまつわることわざ・慣用句・四字熟語46語を、寒さと天気、冬至の暮らし、冬の情景を借りたたとえなどに分けて、読み・意味とともに紹介します。
もくじ
冬の寒さと雪・天気
- 冬将軍(ふゆしょうぐん):
冬の厳しい寒さを、人のように見立てて呼ぶ言葉。
また、寒くて厳しい冬のこと。
モスクワに攻め込んだナポレオンが、冬の寒さと雪に悩まされて敗れたことからいう。 - 小春日和(こはるびより):
初冬のころの、春のように穏やかで暖かい晴天を指す冬の季語。
「小春」は陰暦十月の別名で、今の暦ではほぼ十一月から十二月上旬にあたる。
春先の穏やかで暖かい天気を指すのは、本来の意味ではない。 - 三寒四温(さんかんしおん):
晩秋から初春にかけて、寒い日が三日ほど続いたあとに暖かい日が四日ほど続き、これを繰り返す気候。
冬の季語で、中国北東部や朝鮮半島では、かなり規則的に現れる。 - 銀世界(ぎんせかい):
雪が一面に降り積もって、あたりが白一色になった景色。 - 雪は豊年の瑞(ゆきはほうねんのしるし):
雪が多く降るのは、豊作になる前触れであるということ。
「瑞」は、めでたいことの前触れを指す。 - 子供は風の子(こどもはかぜのこ):
子どもは元気で、寒い風が吹いていても平気で外を駆け回って遊ぶものだということ。 - 寒気凛冽(かんきりんれつ):
冷たい空気が、とても厳しいさま。 - カマキリが高く卵を産むと大雪(かまきりがたかくたまごをうむとおおゆき):
カマキリの産卵の高さで、その冬の積雪の深さを占う言い伝え。
例年より高い所に卵を産みつけた年の冬は、雪が深くなるとされる。 - 冬の雨は三日降らず(ふゆのあめはみっかふらず):
冬は、雨が三日も降り続くことはないということ。 - 滴水成氷(てきすいせいひょう):
したたり落ちる水がたちまち氷になるほど、冬の寒さが厳しいこと。
極寒の地の寒さのたとえにも使う。 - 雪の朝は裸虫の洗濯(ゆきのあしたははだかむしのせんたく):
雪の降ったあとの朝はよく晴れて暖かく、着る物の乏しい人でも洗濯ができるということ。
「裸虫」は、衣服を持たない貧しい人のこと。
冬至と寒の暮らし
- 一陽来復(いちようらいふく):
冬至、または陰暦十一月のこと。
易で、陰がきわまったあと、冬至に陽が初めて生じるとすることからいう。
転じて、冬が去って春が来ること、悪いことが続いたあとにようやくよい方へ向かうことの意味でも使う。 - 冬至冬中冬はじめ(とうじふゆなかふゆはじめ):
冬至は暦の上では冬のさなかにあるが、本当の冬の厳しさはこれから始まるということ。 - 寒垢離(かんごり):
寒中に冷水を浴びて心身を清め、神仏に祈願すること。
冬の季語。 - 冬至十日経てば阿呆でも知る(とうじとおかたてばあほうでもしる):
冬至から十日たつと、日が長くなったことはだれにでも分かるということ。 - 冬至に南瓜を食うと中風にかからぬ(とうじにかぼちゃをくうとちゅうぶうにかからぬ):
冬至の日にかぼちゃを食べると、中風にならないという言い伝え。
「中風」は、脳卒中の発作のあとに残る半身のまひなどのこと。 - 冬至から藺の節だけ伸びる(とうじからいのふしだけのびる):
冬至を過ぎると、日の長さが少しずつ伸びていくということ。
冬の情景を借りた教え・たとえ
- 冬来たりなば春遠からじ(ふゆきたりなばはるとおからじ):
つらい時期を耐え抜けば、幸せな時期は必ず来るというたとえ。
イギリスの詩人シェリーの詩「西風の賦」の一節から。 - 蛍雪の功(けいせつのこう):
苦労して学問に励んだ、その成果。
中国の晋の時代、車胤は夏に蛍の光で、孫康は冬に雪明かりで本を読んで学んだという故事から。 - 柳に雪折れなし(やなぎにゆきおれなし):
柳の枝はよくしなうので、雪の重みで折れることはない。
柔らかいものは、堅いものよりかえってよく持ちこたえるというたとえ。 - 雪中送炭(せっちゅうそうたん):
困っている人が今まさに必要としている助けを、タイミングよく与えること。 - 蛍の光窓の雪(ほたるのひかりまどのゆき):
苦労して勉学に励むこと。
蛍雪の功と同じ、車胤と孫康の故事から。 - 孫康映雪(そんこうえいせつ):
苦学することのたとえ。
晋の孫康が、家が貧しくて灯火の油が買えず、雪明かりで勉強したという故事から。
「映雪」は、雪明かりで読書すること。 - 我が物と思えば軽し笠の雪(わがものとおもえばかるしかさのゆき):
自分のためとあれば、苦労も負担に感じないことのたとえ。
江戸時代の俳人、宝井其角の句「我が雪と思へば軽し笠の上」から。 - 霜を履んで堅氷至る(しもをふんでけんぴょういたる):
霜を踏んで歩く季節を経ると、やがて堅い氷の張る厳冬になる。
何事も前触れがあってから実際の出来事が起こるというたとえで、前触れに気をつけよという戒めでもある。
「易経」の言葉から。 - 雪上に霜を加う(せつじょうにしもをくわう):
すでに十分にある上に、さらに同じようなものを加えることのたとえで、よい意味にも悪い意味にも使う。
特に、災いや悩みごとが重なることや、むだなものを重ねることのたとえとして使われる。 - 雪仏の水遊び(ゆきぼとけのみずあそび):
自分から災いを招いて、身を滅ぼすことのたとえ。
雪でつくった仏は、水に入ると溶けてしまうことから。 - 鱈汁と雪道は後がよい(たらじるとゆきみちはあとがよい):
鱈汁も雪道も、先より後のほうがよいということ。
寒さに耐える草木と、冬の画題
- 歳寒の松柏(さいかんのしょうはく):
節操が堅く、逆境に置かれても志を変えないことのたとえ。
松や柏が、冬の厳しい寒さの中でも葉の緑を保つことから。
「論語」にある孔子の言葉による。
「柏」は、ヒノキやコノテガシワなどの常緑樹を指す。 - 歳寒三友(さいかんさんゆう):
冬の寒さに耐える松・竹・梅、または梅・水仙・竹のこと。
東洋画の画題の一つで、日本では「松竹梅」と呼ばれ、めでたい意味が強くなった。 - 冬夏青青(とうかせいせい):
変わらない節操を持ち続ける人のたとえ。
松や柏などの常緑樹が、冬も夏も変わらずに青々と茂っていることから。
「荘子」の言葉による。 - 雪中の松柏(せっちゅうのしょうはく):
志や節操を固く守るたとえ。
松や柏は、雪の中でも葉の緑色を変えないことから。 - 雪中四友(せっちゅうしゆう):
梅・臘梅・山茶花・水仙の四種をまとめた呼び名。
画題などに用いられる。 - 寒江独釣(かんこうどくちょう):
冬の川で、雪の中ひとりで釣りをすること、また、その人の姿。
柳宗元の詩「江雪」に詠まれ、のちに多く画題となった。
夏と冬の取り合わせ・季節外れ
- 夏炉冬扇(かろとうせん):
時期外れで役に立たない物事のたとえ。
夏の囲炉裏と冬の扇の意味で、中国の「論衡」に見えるたとえから。 - 夏歌う者は冬泣く(なつうたうものはふゆなく):
働ける夏に遊び暮らす者は、冬になって寒さと飢えに苦しむ。
働けるときに働かない者は、あとで暮らしに困るというたとえ。 - 夏は日向を行け冬は日陰を行け(なつはひなたをゆけふゆはひかげをゆけ):
夏は暑い日向を、冬は寒い日陰を歩くように、あえてつらい道を行って体を鍛えよということ。
また、人に道を譲り、出すぎないようにせよということ。 - 雪と墨(ゆきとすみ):
物事が正反対であること。
また、二つの物事の違いがはなはだしいことのたとえ。 - 冬の雪売り(ふゆのゆきうり):
雪のある冬に雪を売るように、時機に合わず、むだな働きをすることのたとえ。
「冬の氷売り」ともいう。 - 夏下冬上(かかとうじょう):
炭火のおこし方。
火種を夏は下に、冬は上に置くと火がつきやすいということ。 - 冬編笠に夏頭巾(ふゆあみがさになつずきん):
物事が逆さまになっていることのたとえ。
冬は頭巾をかぶり、夏は編笠をかぶるのが普通であるのを、反対にすることから。 - 冬温夏凊(とうおんかせい):
子が父母に礼を尽くして仕え、冬は暖かく、夏は涼しく過ごせるように気を配ること。
親孝行をいう言葉で、「礼記」の一節から。 - 霞に千鳥(かすみにちどり):
ふさわしくないこと、または実際にはないことのたとえ。
霞は春のもの、千鳥は冬のものとされることから。
「冬」が別の意味・たとえになる言葉
- 三余(さんよ):
読書に最もよいとされる、冬・夜・雨降りの三つの時のこと。
冬は一年の余り、夜は一日の余り、雨降りは時の余りと考えたもので、ここでの「冬」は一年の余りの時を指す。
中国の「魏略」にある話による。 - 曼倩三冬(まんせんさんとう):
字を曼倩という前漢の東方朔が、十三歳から書を学び、三度の冬で文学や歴史の知識を十分に身につけたという故事。
「蒙求」の標題の一つで、「三冬」は三度の冬、つまり三年を表す。 - 冬日之温(とうじつのおん):
君主が臣下にかける恵みが、冬の日差しのように温かく穏やかであること。
中国の「文選」にある「君は冬日の温を垂れ、臣は秋霜の戒めを尽くす」から。
ここでの「冬日」は季節の様子ではなく、君主の恩恵のたとえとして使われている。
冬の言葉に見る「耐えて待つ」見立てと、夏と冬の対
冬にまつわる言葉には、寒さや雪をそのまま言い表すもののほかに、冬を耐える時期と見て、その先に来るよい時期を待つ言葉が目立ちます。
もう一つ多いのが、夏と冬を一組にして、季節に合わないことや、物事が正反対であることを言い表す言葉です。
冬の寒さに耐える言葉と、春や日の長さを待つ言葉
冬至を過ぎると日が少しずつ長くなり、冬を越せば春が来ます。
こうした季節の巡りに、苦しい時期を耐えればよい時期が来るという考えを重ねた言葉があります。
また、寒さの中でも緑を保つ松や柏は、逆境でも志を変えない人のたとえに使われ、冬の雪明かりで本を読んだ故事は、苦学を表す言葉になっています。
夏と冬を対にした言葉
夏と冬は、暑さと寒さが正反対の季節です。
その二つを入れ替えたり並べたりすることで、時機に合わないことや、季節ごとの心がけを言い表しています。
- 季節外れのたとえ:
夏炉冬扇・「冬編笠に夏頭巾」・「冬の雪売り」のように、その季節に合わない物や行いを借りて、役に立たないことや、物事が逆さまであることをたとえる例。 - 夏の過ごし方と冬:
「夏歌う者は冬泣く」・「夏は日向を行け冬は日陰を行け」のように、夏と冬を結びつけて、働くことや体を鍛えることを勧める例。 - 季節で逆にする工夫:
「夏下冬上」・「冬温夏凊」のように、夏と冬とで反対の手立てをとることを説く例。





コメント